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無殺菌乳・サーミゼーション乳・殺菌乳 —— チーズが入国できるかを決める三つの言葉

技術資料の上では一行です。輸入の実務では、貨物が通関するか止まるかを決めることがあります。三つの違いは品質の差ではありません。加熱処理の差であり、測定できます。

公開日 2026年9月20日 · 更新日 2026年9月20日

灰白色のナチュラルな外皮をもつ山のチーズのホール。切り分けた一片から、象牙色の締まった組織が見える。

イタリア産チーズを仕入れる方は、この三つの言葉を技術資料の末尾で目にし、工程上の細かい話として読み流しがちです。そうではありません。商業上のどんな検討よりも先に、その製品がどの国に入れるのか、どんな条件で入れるのかを決める一行です。

三つの区分は、数値で定義されている

無殺菌乳。 規則 (EC) No 853/2004 は、家畜の乳腺の分泌によって生産された乳であって、40 °C を超えて加熱されておらず、同等の効果をもつ処理も受けていないもの、と定義しています。この定義は品質について何も述べていません。温度のしきい値を定めているだけです。

殺菌乳。 欧州の衛生規則のもとでは、処理後に製品がアルカリホスファターゼ試験で陰性を示す必要がある加熱処理です。間接的ですが実務的な確認方法です。この酵素は殺菌に近い条件で失活するため、酵素が検出されないことが、処理が行われた証拠になります。

サーミゼーション乳。 両者の中間にあり、もっとも混同されやすい区分です。殺菌未満の加熱処理で、殺菌の条件には達しないまま微生物の量を減らします。運用上の帰結として、サーミゼーション乳はホスファターゼ陽性のままです。同じ試験において、殺菌乳とは正反対の結果になります。

この区別がチーズで意味を持つ理由

加熱処理は、望ましくない微生物だけに作用するのではありません。乳に存在する微生物相の全体に作用します。熟成に関与する部分も含めてです。

無殺菌乳においてその微生物相がどれほど多様かは、測定されています。SpringerPlus に2013年8月27日に公開された研究は、標高の異なるイタリアの夏季放牧地の無殺菌乳について真菌相を分析し、標高が上がるほど多様性が高まることを示しました。試料中もっとも高い標高2,200メートルの放牧地では17種が分離されています。無殺菌乳のチーズにおいて、その微生物相は残りものではなく、道具の一部です。

ここから、修辞を避けて言うべき商業上の帰結が出てきます。無殺菌、サーミゼーション、殺菌は、熟成庫でも売り場でも異なるふるまいをする製品になります。 悪いものから良いものへ並ぶ尺度ではありません。効果の異なる技術的な選択であり、買ったあとに気づくのではなく、買う前に把握しておくべき事項です。

輸入の問題になる地点

米国 の基本規定は 21 CFR 1240.61 です。直接飲食用の乳および乳製品は、殺菌されていなければ流通できません。ただし規則が代替手続を定めている場合は除かれます。 チーズについての代替手続は第133部にあり、内容はつねに同じです。乳が殺菌されていない場合、チーズは 1.7 °C(35 °F)を下回らない温度で60日以上熟成 されている必要があります。この文言は各分類の規格に置かれています。ハードタイプは 21 CFR 133.150、セミソフトタイプは 21 CFR 133.182 です。

この規定は輸入品にも同じように適用されます。チーズの出来の良し悪しの問題ではなく、輸入可否の条件です。

もっとも高くつく誤り —— サーミゼーションを殺菌として扱うこと

もっともよく見られる誤りであり、無理もない面もあります。サーミゼーション乳は加熱されている、だから「生ではない」、という理屈です。

しかし米国の規定において重要なのは、乳が加熱されたかどうかではありません。殺菌の条件に達したかどうかです。サーミゼーション乳のチーズは、実際の熱処理が文書で確認できない限り、殺菌されていないものとして扱うべきです。 熟成45日であれば、欧州では完全に適合している製品が、米国には入りません。

この誤りの代償は罰金ではありません。止まった貨物と、待たされる顧客と、失われた販売シーズンです。

販売するときに越えてはいけない線

最後にもう一点、輸入する側がご自身の市場で書く文章に関わる話です。

無殺菌・サーミゼーション・殺菌の区別は工程の事実です。乳に何が行われたかを述べています。ところが商業的な発信では、この事実がしばしば健康上の訴求に置き換えられます。より自然、より生きている、より体によい、といった具合です。製品がどう作られているかを述べる話から、食べる人に何をもたらすかを約束する話へ移ってしまう地点がそこです。

この移動は文体の微妙な差ではありません。多くの市場では、健康に関わる表示は認可され一覧に載っている場合にのみ許されており、チーズはその一覧にありません。国によっては、食品の不当な広告に対する制裁が刑事の領域にまで及びます。再販する側が善意で書いた一文が、商品そのものより高くつくことがあります。

実務上の原則は単純で、供給者が提供する資料にも同じく当てはまります。工程を説明し、効果を約束しないこと。 乳の種類、熟成日数、温度、形態、重量。いずれも検証できる情報で、認可を必要とせず、どの市場でも通用します。

同じ種類のチーズがなぜ違うのかを最終顧客が知りたがったときの誠実な答えは、技術的なものです。乳が違い、微生物の構成が違い、時間が違う。形容詞より説得力があり、誰も危険にさらしません。

品目ごとに尋ねるべきこと

分類ごとではなく品目ごとに尋ねます。同じ分類の中でも加工が異なることがあるためです。

  1. この品目の乳は、無殺菌・サーミゼーション・殺菌のどれか。
  2. サーミゼーションであれば、実際の熱処理(時間と温度)とホスファターゼ試験の結果を示す記録があるか。
  3. そのロットは熟成何日で出荷されるか。 生産規約の最低日数ではなく、そのロットの実日数。
  4. 出荷から通関までに何日経過するか。 意味を持つのは完了した熟成です。
  5. その数値は、貨物に付く書類に記載されているか。 口頭の回答では通関しません。

まとめ

三つの言葉は品質の等級を表しているのではありません。チーズにする前に乳へ何が行われたかを表しています。その事実には独立した二つの帰結があります。熟成中のふるまいに関するものと、特定の国に入る資格に関するものです。この二つを混同してはいけません。

輸入する側にとっては、二つ目が先に来ます。入国できない製品に特性はありません。あるのは費用だけです。

出典

本サイト記事の編集責任:Bongetta Formaggi srl

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